青蝶夢 *Ⅰ*
私は伊吹さんに、自分の
存在を気づかれないように
足音を立てずに一歩、二歩
と戻り、自分の姿を隠した。

でも、どうしても
二人の事が気になる。

私は、こっそり

二人を見つめる・・・

貴方は、あの日

部屋の窓から見た
光景のままに
愛しい彼女に口づけた。

逢いたくても逢えない人

ヨシノ・・・

彼に、そっくりな横顔を
持つ彼女を、貴方は
必死に抱きしめる・・・

まるで、芳野をその腕に
抱きしめているように
貴方は、ほっと安堵した
表情を浮かべた。

胸が痛い・・・
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