青蝶夢 *Ⅰ*
彼女を
見つめないでほしい。

彼女を
抱きしめないでほしい。

彼女を

愛さないで・・・

芳野がいなくなった家の中で
伊吹さん、貴方と二人きりで
過ごした、心穏やかな
幸せな時間・・・

それは
貴方を好きになるには
十分すぎる時間だった。

この気持ち

遠い昔に感じた気持ちと同じ

9歳の私も
本気で、伊吹さんの事が
好きだったんだぁ

助けてほしいとか、そんな
感情を抜きに、私はただ
純粋に貴方が好きだった・・

その事に気づいてしまった
私の前には、もう二人の姿
は無かった。
< 249 / 434 >

この作品をシェア

pagetop