青蝶夢 *Ⅰ*
「ねぇ、ヨシノ
 貴方、住むところが無くて
 困っているんでしょう?

 だったら、新しい住居が
 見つかるまでの間
 私の父が私有するマンション
 の一室で暮らせばいいわ
 
 そこから、今までどおり
 女の元へ通えばいい
 
 あなた夜は、一人でないと
 眠れないって、以前
 話していたでしょう?
 
 それなのに、こうして
 朝まで一緒に居てくれる
 なんて、そんなの
 貴方らしくないもの
 
 ねぇ、そうしなさいよ」

「いやっ
 有り難い話だけど・・・」

「帰りたい場所が
 貴方には、もうある

 でも、何か
 帰れない理由がある
 
 図星でしょう?」

芳野は、苦笑して見せた。
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