青蝶夢 *Ⅰ*
その夜・・・

行きつけのBARで一人きり
酒を飲む芳野は、今朝の
彼女の言葉を思い出していた。

『帰りたい場所
 
 帰れない理由』

一時間、二時間・・・

芳野は、カウンターで
酒を浴びるように飲み続ける。

その隣に座る、スーツ姿が
とても似合う男性・・・

クールなデザインのお洒落な
時計が、太い腕で煌く。

「今夜は、荒れてるねぇ
 確か君、この間の便に
 乗ってたよね?
 
 ほら、無理やりに
 名刺を渡した、俺の事
 憶えてないかな?」
< 255 / 434 >

この作品をシェア

pagetop