青蝶夢 *Ⅰ*
何も話さない芳野は、ただ
ひたすら、酒を飲み進める。

そんな芳野の頬に触れる
節々がしっかりとした
男性の指、手。

彼は、その手に力を込めて
自分の方を向くように
芳野の顔を動かす。

芳野の酒に酔った甘い瞳が
彼を見つめる・・・

薄っすらと赤い頬

蕩けるような眼差し

それは、まるで
誘っているように・・

「誘ってるのか
 俺の事?」

「だったら・・・」

その声に、男性は驚いた顔
をした。

「君、男・・・なのか?」

「遣るの、遣らないの
 どっち?
 
 遣るなら
 ここでキスしろよ」
< 256 / 434 >

この作品をシェア

pagetop