青蝶夢 *Ⅰ*
イブキ・・・お前は言う。

「カヤノと付き合うことにした
 俺は遊びじゃなく、本気で
 カヤノの事が好きなんだ」

「・・・そうか」

自分にそっくりな茅野を
伊吹は愛していると言う・・・

ズキッ・・・

この時、芳野は初めて
意味の分からない胸の痛みを
知るのだった。

「ヨシノ
 
 ヨシノ・・・」

その声が、今は茅野を呼ぶ。

茅野を求める。

いつの間には、芳野は実家に
居る事が増え、代わりに茅野が
帰って来なくなった。

幼い頃からの夢である
客室乗務員になる為に英語の
勉強はしていたものの
大学へ通う茅野には
自由になる時間があった。
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