青蝶夢 *Ⅰ*
そりゃ、怒るよな
怒られて当然だ。

俺だって見たく無かったさ

伊吹の上で揺れる
お前なんて・・・

「ヨシノ、着替えるから
 ちょっと待ってろ」

久しぶりに聞く、伊吹の声。

「いや、俺、行くわ
 邪魔して悪かったな
 
 続き、楽しんでよ
 じゃあな」

どんな面で
お前に会えばいい・・・

芳野は、早くこの場所から
逃げ出したかった。

「ちょっ、待てよ」

玄関で、靴を履く芳野の
傍に、上半身裸のまま
汗ばんだ額にかかる髪を
掻き揚げながら、伊吹は
現われた。
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