青蝶夢 *Ⅰ*
「何だよ、後ろかよ
 
 最初から、そう言え
 ・・・・・・
 
 おい、やめろよ」

伊吹の唇が、また触れる・・・

「お前、いい加減にしろよ」

殴って酔いから醒まして
やろうか・・・と少し
怒った顔つきで芳野が
伊吹を見つめると

伊吹は、虐めっ子のように
芳野を見て微笑んだ。

この悪ガキが・・・

その瞳は、どんどん
鋭くなる・・・

伊吹は握り締めた、芳野の手を
引っ張って部屋の中へ
連れて行く。

「イブキ・・・放せよ」

幾らなんでも、こちらも男
そう、いい成りにはならない。

その手を振り解こうとした時
伊吹はパッと手を放した。
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