青蝶夢 *Ⅰ*
私は、伊吹さんの腕の中で
首を左右に振った。

さっき、堪えたはずの涙が
溢れ、私の頬を濡らす。

貴方のシャツを濡らす・・・

「イブキさん・・・
 無理だよ
 今までどおりになんて
 私には、ムリ・・・
 
 できない

 だって、私
 貴方の事が好きなの
 
 貴方がほしいの

 あなたの愛が欲しい

 愛が、欲しいよ」

愛を知らなかった私は

人を愛する事を知る。

そして、心から

愛した人に愛を求める。

しかし、彼らは決して

私に、愛をくれない。

それは、きっと

穢れた私に

愛なんて綺麗な言葉が

似合わないから・・・
< 300 / 434 >

この作品をシェア

pagetop