青蝶夢 *Ⅰ*
とても、全てを
話す事はできない。

私の、精一杯の言葉・・・

「・・・私でいいの?」

私の頬に、貴方の
大きな手が触れた。

貴方が、頷くのを見て
私の瞳から涙が流れた。

貴方は、私を抱き寄せて
耳元で、こう言ってくれた。

「お前がいい」

私は、もう何も望まない。

貴方の愛があれば

それだけでいい。

貴方は、私の手を
サッと取り、優しく
長い指を絡ませた。

片方の手には、トレーを持ち
その上に置かれたゴミを
ゴミ箱に捨ててくれた。

「ありがとう」

貴方は、繋ぐ手に
力を込めた。

放れないように
強く、握る・・・
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