青蝶夢 *Ⅰ*
「イブキ・・・?」

伊吹が、使っている部屋には
布団が敷かれていた様子は無く

こんな朝早くに、仕事へ
出かけたなどとは
とても考えられない・・・

茅野の瞳に、今、秘色が
使用している部屋のドアが映る

このドアの向こうに

あなたがいるかもしれない。

あなたは、居るはず

・・・きっと。

鍵の開いた、部屋のドアを
彼女はゆっくりと開ける。

朝方、眠りについた私に
微かに感じる、殺気。

ドアが閉まる音と共に

聞こえる声

「やっぱり・・・

 こういうこと」

茅野の声に、伊吹は目を覚まし
慌ててベッドに座り込む。

裸の伊吹に、茅野は足元に
落ちていたシャツを投げつけた
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