青蝶夢 *Ⅰ*
抱きあっても

心ここにあらずで

知らない人の肌のように
冷たくて

茅野は仕方なく、翌日逢う
約束をこぎ着けて、伊吹が
帰る事を許した。

「愛し合った私を、その腕に
 優しく抱きしめてくれよう
 ともせずに、あなたは急いで
 脱いだ服を着て帰って行った
 
 残された私を胸騒ぎが襲った
 
 あなたをいつか
 
 彼女に取られる・・・・・」

「カヤノ、すまない
 お前には、本当に・・・」

「でも、これだけは言わせて
 あなたは、わたしのもの
 わたしだけのもの
 
 彼女は、いつか
 きっと、その事に
 気づく時が来る

 あなたが愛しているのは
 わたしだと
 
 あなたの深い闇は
 カレに似た、私しか
 満たせない」

『イブキは、もう
 アイツのもの
 
 アイツだけの・・・』
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