青蝶夢 *Ⅰ*
私は以前、伊吹に
助けを求めたように

今度は、芳野に
助けを求めた。

芳野を見上げる、私の瞳から
流れる涙は、頬を濡らす。

溢れては、零れ

止まらない涙・・・

貴方は、その大きな手を
私の頬にあてて
私の涙を拭ってくれる。

「こんなに青い顔して
 何があった?」

「・・・付いて
 来てほしいの?
 病院に・・・
 
 私、保険証も
 お金も無くて・・・」

「どうした
 どこか悪いのか?
 どこか痛むのか?
 
 イブキには、話した・・・」

「いえない・・・
 イブキには
 今は、まだ言えない」
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