青蝶夢 *Ⅰ*
かと思うと、彼女は
頬に、手の甲をあて
涙を拭って笑ってみせた。

「ヨシノ、正直
 ホッとしたでしょう?
 嫌いな女との間に
 今更、子供だなんて・・・

 迷惑なだけだよね
 面倒くせぇ・・・だね?

 よかったね
 貴方の子供じゃ・・・」

「もう、言うな」

芳野は、秘色の肩を
強く抱きながら、思った。

このままだと

秘色が壊れていく・・・

「俺は、お前を
 嫌ってなんていない」

「ほんとう?」

情緒不安定な秘色・・・
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