青蝶夢 *Ⅰ*
ついさっきまで
青褪めていた頬を

今度は赤く染めて
子供のように
可愛く微笑んでみせた。

これが、本当の秘色
なのだろう。

辛い出来事など、何ひとつ
無ければ

彼女は、こうして毎日
幸せな気持ちで微笑んで
いられるのに・・・

彼女の笑顔に、俺は
涙が出そうになるのを
必死に堪えた。

お前が、いつも、そんな風に
笑っていてくれるなら、俺が
本物の青い蝶を捕まえてやる。

やっと、逃れられたのに・・・

話し終えた秘色は、また
顔色を曇らせていく。

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