青蝶夢 *Ⅰ*
いつものように、窓を開けて
煙草を銜える貴方は
何かに気づいて、銜えた煙草を
口元から離した。

「俺、あっちで
 吸ってくるわ」

芳野は、私のお腹の赤ちゃんの
事を気にかけてくれていた。

「いいよ、ここで吸っても」

「良かねぇよ、煙を
 吸わせちゃまずいだろう」

私は、部屋を出て行こうとした
芳野の腕を掴んだ。

貴方が居なくなったら・・・

不安な瞳で貴方を見つめる・・

「煙草、吸ってくるだけだ
 
 序でに何か飲み物
 淹れてきてやるよ
 何が飲みたい?」

「珈琲が飲みたい」

芳野の淹れてくれた大人の味
の苦い珈琲が飲みたい。
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