青蝶夢 *Ⅰ*
「分かった
 淹れてきてやるから
 待ってろ」

私は、もう子供じゃいられない

苦い味に、慣れなきゃ・・・

伊吹が淹れてくれる、程よい
甘さの珈琲に、私は今日
さよならを告げる。

一方的な、さよならを・・・

イブキ・・・

昨夜、貴方の愛で私は
過去の自分から解き放たれる
ことができたのに

一瞬にして、私はまた過去に
引き擦り込まれてしまった。

『確かに愛は

 この手の中にあった・・』

その愛(手)を、閉じたのは

・・・私。
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