青蝶夢 *Ⅰ*
芳野は、ベッドに腰を降ろし
太股の上で、コーヒーカップを
両手に持つ秘色の前に立ち
その頬に、手を翳した。

見上げる秘色・・・

「一緒に帰ろう」

「うん」

彼は、秘色の飲みかけの
カップを取るとテーブルに
置いた。

「イブキが帰るまで
 少し横になった方がいい
 疲れただろう?」

私は頷いてベッドに横になると
貴方はタオルケットを
お腹にかけてくれた。

その手に、私は触れる。

「何もしなくていいよ
 少しだけでいい
 
 隣に居て・・・」

頷いた貴方はタオルケットの上
ベッドに横になり、至近距離で
私を見つめた。
< 367 / 434 >

この作品をシェア

pagetop