青蝶夢 *Ⅰ*
芳野の、子供・・・

伊吹は、両手を
こめかみに当てた。

そして、深いため息をつく。

「珈琲、淹れたよ
 さあ、飲もう」

「ああ、ありがとう」

「ヒイロは
 ホットミルクにしたよ」

「あり・・・がとう」

自分の事だけで
いっぱい、いっぱいの私

貴方の愛を捨てて
芳野の愛を選んだ・・・私

こんな、どうしようもない
私にまで・・・

伊吹、貴方は優しいんだね。

こんな時に泣いちゃいけない。

泣きたいのは私じゃない・・・

私は俯いて、涙を堪えた。
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