青蝶夢 *Ⅰ*
伊吹の唇が、私に触れた。

芳野は、私達から瞳を逸らした

最後に、優しい口づけを

貴方は私にくれた。

「ヒイロ、お前を愛してた」

放したくないけど

放れる手

流れる涙

私の頬を伝う。

私は、声を出して泣きそうに
なるのを堪えた。

「ヨシノ、俺は二人の事を
 許せないかもしれない」

「ああ
 許せなくて当然だ
 ただ、全ては俺が悪い
 俺を、俺だけを憎め」
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