青蝶夢 *Ⅰ*
芳野は、話し出す・・・

「俺はただ、何かに必死になる
 のが面倒で、楽して生きる事
 を知った情けない男さ
 
 自分よりも弱い女が汗水
 垂らして働いた金を
 たった一夜の甘いひと時を
 呉れてやる代わりに、報酬
 として巻き上げてこうして
 意味も無く、贅沢に
 生活を送る」

「ヨシノ・・・」
 
「本当の俺は、そんな俺を
 いつもどこかで見つめては
 見下げている
 『バカな奴』だとね」

「どうして、自分を苦しめる
 ような事をするの?」

「苦しめる、そんな風に
 思った事は無かったが・・・
 言われてみれば
 そうなのかもしれないな

 俺は、本当の俺が
 死ぬほど、嫌いだから・・・
 
 女々しい、俺がね」
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