青蝶夢 *Ⅰ*
芳野は、ソファーに横たわり
私を抱き寄せる。

彼の胸に、頬を寄せながら
私は話す。

「ヨシノ、貴方は少しも
 女々しくなんて無いよ
 大抵の男なら
 逃げ出すような事を
 貴方は、私の為に
 約束してくれた
 
 自分の子供でもない、この子
 の父親になってくれると
 言ってくれた

 貴方の言葉が無ければ、私は
 あまりにも酷い仕打ちに死を
 選んでいたかもしれない」

「ヒイロ・・・」
 
「子供を愛せないかもしれない
 そんな悲しい事に、私は
 耐えられない
 
 かと言って、この子だけを
 犠牲にすることもできない

 貴方がこの子を愛して
 くれるなら、私もきっと
 この子を愛せる・・・」

< 389 / 434 >

この作品をシェア

pagetop