青蝶夢 *Ⅰ*
その時、ドアが閉まる音がした

「ただいま
 ヒイロ帰ってるの?
 今日も疲れたわ・・・
 立ち仕事は、本当
 楽じゃないわね
 そうそう、今日は
 貴女の好きな・・・」

母は
いつも玄関先で大きな声で
自分が帰って来た事を
私と義父に知らせる。

そして、数分立ってから
室内へ入ってくる。

居た堪れない気持ちになる・・

「ヒイロ、まだ制服なの?
 どこ行くの
 もう、外は暗いわよ」

「母さん、放っておきなさい」

そう言って、義父の手が
母に触れる。

母を抱き寄せる。
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