青蝶夢 *Ⅰ*
「私も、一緒に切ろうかなぁ」

芳野は私の髪を後ろで
縛るように掻き揚げる。

「お前は、ダメ
 女は長い方が
 色っぽい」

そう言って、首筋に
唇を近づける。

「何、それ
 ヨシノ、知らないんだね
 短くても色っぽいのにぃ」

首筋にキスをした貴方は
束ねた私の髪をおろす。

「嘘、そうなの?
 じゃあ、切れよ」

「何、それ
 絶対、切らないから」

微笑み合う、唇

見つめ合う、瞳

狂おしい

あなた
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