青蝶夢 *Ⅰ*
「立ち話も何だから
 どこかに・・・」

茅野さんは、辺りを見渡すが
喫茶店や公園など話せる場所
は、どこにも無い。

「どうぞ
 部屋でお話伺います」

沈黙が流れる室内に

二人きり・・・

彼女と会うのは、伊吹を奪った
あの日以来で、いったい何を
話せばいいの?

室内を見渡して、彼女は言う。

「こんな、いい部屋に
 住めるなんて、ヨシノの奴
 何やってたんだか・・・

 ヒイロちゃん
 あなたのおかげで、ヨシノが
 まっとうな仕事に就いて
 将来を考え出してくれた事は
 私、心から感謝しているの

 ヨシノを堕落させた、一番
 付き合いの古い女とも
 別れる事ができたようだし
 ・・・ありがとう」

「いえ・・・」
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