青蝶夢 *Ⅰ*
『気づかずに
 
 お互いに
 
 惹かれあっている』

教えてあげる・・・
  
茅野は、落ち着いた口調で
ゆっくりと話し出す。

「私がまだ、イブキと
 付き合う前
 ヨシノのバイトが終わるのを
 よく彼と二人で待っていたの
 
 結局、2週間程でヨシノは
 そのバイトを辞めてしまった
 けど・・・
 
 私は、イブキと二人で過ごす
 その時間が、とっても
 楽しみだった」
 
初めて、芳野の通う学校で
伊吹と出会った、あの日から
茅野は、伊吹に恋焦がれていた

二人の邪魔をするように
現われては、伊吹だけを
見つめていた。

伊吹の事を思って話す
茅野さんの、何気ない表情に
私は、芳野を感じるのだった。
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