青蝶夢 *Ⅰ*
芳野のお気に入りの黒と赤の
チェックのシャツを羽織る
茅野は、芳野よりも華奢では
あったが、どこから見ても
芳野、本人だった。

ここへ辿り着くまでに、何回
も芳野に間違えられた。

だから

貴方も絶対

間違えると思ったのに・・・

「カヤノちゃん
 髪、切ったの?」

「・・・・・・」

伊吹は、すぐに私だと
気がついた。

貴方は、私だと気づいて
くれたのに・・・

私は、それが
とっても悲しかった。

私は、芳野にはなれない・・・

到底、芳野には敵わない・・・

同じ顔を持っていても

私は、芳野には・・なれない。
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