青蝶夢 *Ⅰ*
「お前、確か今日
 モデル事務所に
 行ってきたんだよな
 そこで何か言われたのか?」

冷蔵庫の前、私よりも先に
芳野が、盛り付けられたサラダ
のお皿に手を伸ばして取った。

「はい」

「ありがとう・・・」

冷蔵庫のドアの閉まる音・・・

「何があった?」

サラダを手に持つ、私の頬に
貴方は触れる。

「ううん、何もないよ
 事務所の人には、ちゃんと
 分かってもらえたから
 大丈夫
 それよりも、ヨシノの話を
 もう一度、聞かせて?」

「ああ」

テーブルの上に、サラダを置く
私に聞こえる声。
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