青蝶夢 *Ⅰ*
「はい」

ドアは閉まり、私は
伊吹さんの部屋の前で待つ。

少し時間が経つと
黒いピンヒールを履いた女性が
不機嫌な顔で文句を言って
出て来た。

「泊めてくれるって言うから
 寝たのに、追い出すなんて
 人の事、バカにして」

そう言って、彼女はピンヒール
でドアを蹴っ飛ばした。

そして、私を見つめる・・・

乱れた、茶色の長い髪。

「もしかして

 ヨシノの彼女?」
< 62 / 434 >

この作品をシェア

pagetop