青蝶夢 *Ⅰ*
「ほら、イブキ
 お前も食べろ
 残しちゃ作った奴に悪い」

「ああ、頂くよ」

二人は、私のお弁当を分け合う

「あっ・・・」

「何?」

「いえっ」

芳野さんは、私の食べかけの
玉子焼きを、パクッと
美味しそうに食べた。

その後も、伊吹さんは
もちろん、芳野さんも
私の事情に、全く
ふれることは無かった

何も聞かずに

ここに、居させてくれる。

私はやっと、安らげる場所を
見つける事ができた。

やっと・・・

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