青蝶夢 *Ⅰ*
二人よりも、先に
シャワーを借りた私は
やっと、窮屈な制服を
脱ぐ事ができた。

浴室の鏡に映る私は、伊吹さん
に貸してもらった、彼の洋服を
身にまとう。

彼と同じ香、洗剤の香り

濡れた髪・・・

「シャワー、熱くなかった?」

「はい、いいお湯でした」

二人の傍に立つ、私の髪から
滴が落ちる。

伊吹さんは、私の為に
冷たい飲み物をグラスに
淹れてくれた。

「はい、ヒイロ」

「ありがとう」

袖を捲り上げて、脇で押さえ
彼から、グラスを受け取る私
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