青蝶夢 *Ⅰ*
男物の服は、私には
大きすぎて、ダボダボ

ズボンは腰紐で、調節
できたものの
腰元で折り曲げなければ
足が出てこない。

「ほらっ、座って」

私は、さっきと同じ場所に
座った。

捲くった袖口が、何度も
ずり落ちて私の手を隠す。

その度に、私は腕を捲くる。

お酒を飲む二人の視線が
秘色に集まる。

さっきまで、制服姿で
女の子であることを主張して
いた彼女が、今は男性の服を
着て、かっこよくもある。

その独特な雰囲気

中性的な一面を覗かせる
秘色にドキッとする二人。

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