青蝶夢 *Ⅰ*
芳野さん・・・

貴方の心の中にも

何か、深い傷があるのかも
しれない。

私は、貴方と話して
貴方の悲しい表情から
そんな風に感じてしまった。

その傷が、何なのか

私には、全く
分からないけれど・・・

貴方がいなくなってしまった
部屋に一人きりの私。

目蓋を閉じて、貴方が残して
いった温もりにそっと

この手で触れる。

温かい・・・

貴方を感じながら

貴方の残り香に

貴方の事を想う

私がいた。
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