青蝶夢 *Ⅰ*
「あれでもない
 これでもない
 と悩んだ挙句、最初に
 選んだ物を買って帰る
 いつものパターン

 あれだけは、本当
 やめてほしい
 時間の無駄」

芳野さんの声の後に
伊吹さんの笑う声が
聞こえる。

「もう、こんな時間か
 そろそろ、ヒイロ起こすか」

部屋をノックする、音。

「ヒイロ、そろそろ」

ドアを開ける私。

「あっ、起きてたのか?
 ヒイロ、おはよう」

「おはよう」

部屋のドアの前に立ったまま
の私。

伊吹さんは、微笑みながら
手招く。

「うまいコーヒー
 淹れてやるから
 こっちにおいで」

< 95 / 434 >

この作品をシェア

pagetop