男ごころのうた シーズン2
かんらん車
はじめてのった かんらん車
となりに座る ゆう気のないぼくは
さえぎるもののない まっすぐなきみをみて
いろんな表情をする きみの脚が
べつの生きもののように ことなったことばで
ぼくに語りかけるのをきいて
はずかしくて
こまる
二度めにのった かんらん車
すわってしまった きみのとなりに
これでよかったのだろうか
そんな後悔
きみの耳が
うなじが
あごのなめらかが
ぼくの目を
なぶる
そうしてたまりきった先っぽに
こっちをむいたきみの
目
くちびる
すいついて
はなれない
三度めにのった かんらん車で
ぼくたちはたったふたりの 乗組員になる
地上からうちあげられた 箱船で
そらにあがり
星をとらえ
街の灯をみる
ぼくの身体のなかに きみの空気
きみの身体のなかに ぼくの空気
息の挿入で
脳がつまる
ゆっくりゆっくりと
ふたりのじかんが降りていき
ちじょうにもどり
いつもにもどる
ぼくたちの、じかん
ぼくたちの、ラブ