禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
遺体の発見場所――それは、この一ヶ月に起きた四件の事件すべて、被害者の自宅の、玄関先です。あまりに、恐ろしいです。愛しい子供が失踪し、一週間後、自宅の前で発見される。変わり果てた姿で。もともと、故人の写真をもらうガン首取りは、遺族の方の反感を買いやすい仕事ではあるものの、この事件についてはなおさらです。ただ、それでも私達はそれをしなければいけません。そこには多少なりともマスコミとしての下心はあります。否定はできません。が、被害者の写真を記事に載せることで、被害者が消えた空白の一週間、その目撃情報が得られるのではないか、事件解決に一役買うのではないか、遺族のためになるのではないか、そういう思いもあります。とはいえ、そう弁明しても納得してくださる親御さんは、いませんでした。当然といえば、当然です。結婚もしていなければ子供もいない私にでさえ、察するところがあります。しかも、必ずどのご両親も、「そんなことより子供を生き返らせてくれ!」と無理難題を叫ぶのです。家の前に愛しいお子さんが遺体として現れれば、気が狂ってもおかしくありません……。
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