禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
共通点は、あとひとつ。遺体の状態です。正確には、殺され方でしょうか。どの被害者も死後一週間程度で発見されることもそうですが、遺体の手には必ず、土を固めて作られた銭が握らされているそうです。イメージとしては、五円チョコ。あれの土バージョンでしょうか。なにかのメッセージなのか、それともサインなのか、はたまた犯人の記号なのかは定かではありませんが、この第三の共通点をもってして、ここ一ヶ月の児童連続失踪・誘拐殺人事件は、同一犯であると見られています。

最近ではこの事件を論議するための特番まで組まれ、被害者が一週間の空白を開けて発見されることから、ウィークリー殺人という笑えない名前までついてしまっています。来週もまた事件は起こるのか? 警察はこの連鎖を食い止められるのか? そんな、下らない論議です。それが、なおのこと遺族の怒りを煽っているのを、テレビ局はわかっているのかいないのか……。たぶん、怒り狂う遺族そのものも、ブラウン管に流す画だと思っているのでしょう。私が、同じマスコミでもテレビではなく出版社に勤めている理由は、ジャンルよりもそういう観念的な部分にあります。まあ、それは、余談なのですが。
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