禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
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「香蘭や」
「はい、あるじさま」
「たたりもっけは泣きやんだかい?」
「ええ、だいぶ。ですが、一番最近の、こないだは泣いておりませんでした子が、ぐずり始めました」
「やれやれ、子供は扱いにくいのぅ」
「ですが、かわゆうございます」
「かわいさあまって憎さ百倍という言葉もあるぞぅ?」
「……」
「すまぬ。今のに意味はない」
「さようで。……あるじさま」
「ああ、よい、よい、金さえ払ってくれたならば、また菓子を配ってやろうがなんだろうが、わしは文句は言わんよ。お前の働きぶりには、千里ヶ崎に礼をせがまれそうなくらいだしのぉ」
「……お心遣いに、感謝いたします」
「なに、こちらこそ毎度あり。して香蘭や」
「はい」
「その泣き出した子は、今は?」
「はい。お父上様とお母上様に向かっての言葉でしょうが、同じことばかり呟いております」
「なんと?」
「『出して』と」
「なるほどのぉ」
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「香蘭や」
「はい、あるじさま」
「たたりもっけは泣きやんだかい?」
「ええ、だいぶ。ですが、一番最近の、こないだは泣いておりませんでした子が、ぐずり始めました」
「やれやれ、子供は扱いにくいのぅ」
「ですが、かわゆうございます」
「かわいさあまって憎さ百倍という言葉もあるぞぅ?」
「……」
「すまぬ。今のに意味はない」
「さようで。……あるじさま」
「ああ、よい、よい、金さえ払ってくれたならば、また菓子を配ってやろうがなんだろうが、わしは文句は言わんよ。お前の働きぶりには、千里ヶ崎に礼をせがまれそうなくらいだしのぉ」
「……お心遣いに、感謝いたします」
「なに、こちらこそ毎度あり。して香蘭や」
「はい」
「その泣き出した子は、今は?」
「はい。お父上様とお母上様に向かっての言葉でしょうが、同じことばかり呟いております」
「なんと?」
「『出して』と」
「なるほどのぉ」
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