禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
「ようこそいらっしゃいました、弥栄子さま」
「あ、これはこれはご丁寧に。ども」
わざわざ立ち上がり、手を体の前で組み合わせて恭しい会釈をしてくれる香蘭さんには、私も頭が下がります。本当に、実年齢はいくつでしょうか。こうして間近で見ても、背丈、肌の張り、骨格、もろもろ成長具合から、どうしても中学生。いっていたとして、高校生程度にしか見えません。
「して、辻井さんや。今日はなんだね。おやつでも買いに来たのかい?」
「違います」
従順で礼儀正しいこんなにいい子を侍らせて、満足に仕事もしないのに、そういうところだけはちゃっかりしているのですから困ったものです。
「なんじゃ、違うンか。そのわりには最近、よぅウチに来るわなあ」
「それは……」
いろいろ言おうと思って、やめておきました。どうにもああいう職種に就いていると、余計なところでまで舌が回ってしまいます。ただでさえ、倭ノ宮桔梗という人物は話を脱線させがちです。私がそれに拍車をかけてどうするのでしょうか。
「あ、これはこれはご丁寧に。ども」
わざわざ立ち上がり、手を体の前で組み合わせて恭しい会釈をしてくれる香蘭さんには、私も頭が下がります。本当に、実年齢はいくつでしょうか。こうして間近で見ても、背丈、肌の張り、骨格、もろもろ成長具合から、どうしても中学生。いっていたとして、高校生程度にしか見えません。
「して、辻井さんや。今日はなんだね。おやつでも買いに来たのかい?」
「違います」
従順で礼儀正しいこんなにいい子を侍らせて、満足に仕事もしないのに、そういうところだけはちゃっかりしているのですから困ったものです。
「なんじゃ、違うンか。そのわりには最近、よぅウチに来るわなあ」
「それは……」
いろいろ言おうと思って、やめておきました。どうにもああいう職種に就いていると、余計なところでまで舌が回ってしまいます。ただでさえ、倭ノ宮桔梗という人物は話を脱線させがちです。私がそれに拍車をかけてどうするのでしょうか。