禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟

ここへ来るまでに、ケータイでポチポチと調べたら、だいたいのことはわかりました。
たたりもっけは、不遇の運命で死んでしまった子供の魂が、妖怪になったものだそうです。飢えや、残虐死や事故死……そういった、本人にはどうしようもない、〝泣いて〟しまいそうな辛苦を味わい死んでいった魂。その無念は浮かばれず、ぐずって、たたりもっけになってしまう。

香蘭さんがおやつをあげて回っているたたりもっけは、つまり、このウィークリー事件の被害者である子供達なのです。

たたりもっけと、ウィークリー事件は……香蘭さんと被害者は、つながっていたのです。

実を言うと、ここへ来たのは土屋さんのお宅を訪ねるためではなく、香蘭さんを探していたのです。たたりもっけとコミュニケーションを取っている香蘭さんです。なら、彼女から被害者の子供達に、いったいだれに誘拐され、どうなったのか質問してもらったほうが早いですし、ひょっとしたらもう知っているのかもしれないからです。が、見つからない。仕方なく土屋家を探し始めたあたりで、そういえば、桔梗さんが「どこの子かの」と訊ねていたのを思い出しました。どこに行くのかではなく、今日会いに行く子供はどこの家の子か。そういうことです。土屋家に香蘭さんがいるとは限らなかった……私の推理ミスです。