禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
「おまえのせいだろ」

「ひっ」

彼女が立ち上がり、

「ともきがかえってこなくなったのは、おまえの、せいじゃないか」

一歩こちらへ近づくだけで、呼吸ができなくなりました。

けれど、私は、息ができない状態でも、納得ができずに言っていたのです。

「アナタが、殺したんでしょう」

「殺したんじゃない…………っ!!」

振りあげられる両手。握り締められている凶器。私を見下す狂気。

殺されると思ったのも束の間――それは、吐息を吹きかけるように静かに、合いの手を入れるようにそっと、けれど一瞬で、私と彼女の間に滑り込みました。

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