禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
「ご無礼を」

闇夜にも煌めくなにかが、こす、と音を立てて廊下に落ちました。

そして、

「お許しください」

「ひぇ?」

「その声――」

間抜けな声がした直後には、鈍い音が響きました。それなりの柔らかさと質量のあるなにかを、とても硬質なもので叩いたような――。

「っか、ぁ、は……ぅ、いい……ゃ……」

糸が切れたように崩れ落ちる土屋夫人と、それを見下すのは、チャイナ服に割烹着というキテレツ少女、香蘭さんです。

「こ、香蘭さん……」

「お怪我はございませんか、弥栄子さま」

「あ、はい」

「ご失禁などされておりませぬか」

「してませんっ!」

まあか、香蘭さんからギャグを振られる日が来ようとは。

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