禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
じっ。

摩擦音がして、急に明るくなりました。桔梗さんが、マッチでキセルに火をつけたのです。いったいいつタバコを詰めたのでしょうね。吸うつもりじゃないという言葉が嘘に聞こえます。

「ふー……。土屋さんや」

「っ……ぅ」

「聞こえてはおるわな。まあ、香蘭には『動けなくせぃ』としか言わんかったしの」

なにをさせたか知りませんが、それを実行できる香蘭さんは、改めて何者ですか。

すぅ……じじ……。

暗闇にぼんやり浮かぶ、蛍大のオレンジ。そして続く、紫煙。

桔梗さんの顔は、そんな中でもなお、白く、そして今は、とてもおっくうそうに見えました。

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