禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
「俺は式から解を生む。千里ヶ崎は解から式を作る。0から1、1から0の差は、たった1じゃが、大きいものよな。……俺には、〝改竄式〟はできんのよ」

「……」

「なにより、死んだ者が蘇るという都合のよい考えは、お前さんが納得できんと言っている者らと、同じ考えだしのぅ」

「……そうですか」

相変わらず、特殊な単語が出てくると会話がキャッチボールではなくドッジーボールになってしまいますが、無理なのはわかりました。

辛苦をあえて与え、それを乗り越えさせることで子を強くし、強い福を呼び込ませる。桔梗さん曰く、そうした呪術が存在するようです。が、それがどうして、あんな形になったのか。

「じゃぁからぁ、言うとろうに。似非儀式とな」

獅子は千尋の谷に我が子を突き落とすと言いますが……死んでしまったら元も子もありません。バカです。みんな。あんなことをした親も、あんなことを考え出した、どこかの、だれかも。

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