禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
「桔梗さん」

「なにかね」

「この事件って、ああいう考えに憑かれた親がいる限り、まだ続くんでしょうか」

「……いや、もう終わるだろうの」

「へ?」

「ほれ」

「え。わっ」

投げて寄越されたのは、彼がつけているモノクルでした。もう、これがどういうものなのかはわかっています。けれどこれで、なにを見ろといのでしょう。

「弥栄子さま」

「なんですか」

「あちらを」

ずっと外を向いていた香蘭さんが指さした先を、モノクロをかけて見てみました。

そこには、あのとき私が見た、ちょっと無愛想っぽい男の子――ともきくんと、彼と同世代っぽい少年少女達が十人ほど、輪になっていました。なにやら作戦会議っぽい雰囲気ですが、ともきくんが私に気づくと、一斉にみんながこちらを振り向きました。
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