禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
ほんの一秒、見つめ合ったでしょうか。癇癪玉が弾けるようにぱっと、ともきくん以外の子供達が、その場から消えてしまいました。残ったともきくんも、やがてあっさり私から目をそらし、シャボン玉より呆気なく弾けて、消えてしまいます。
モノクルをそっとはずした私は、呆然としつつも、振り返りました。明るいところから見ると、店内はますます暗く、暗い暗い店内に、桔梗さんの白い顔は、能面のように浮かんでいました。
「あの……今のって……」
「たたりもっけはの、かわいそうな存在じゃよ」
「え、そりゃあだって、あんな小さいの死んじゃったら」
「そればかりじゃあ、ないさ。若くして死ぬということは、親より先に死ぬっていう親不孝だわの。たとえ、親に殺されたにせよのぅ」
「……」
モノクルをそっとはずした私は、呆然としつつも、振り返りました。明るいところから見ると、店内はますます暗く、暗い暗い店内に、桔梗さんの白い顔は、能面のように浮かんでいました。
「あの……今のって……」
「たたりもっけはの、かわいそうな存在じゃよ」
「え、そりゃあだって、あんな小さいの死んじゃったら」
「そればかりじゃあ、ないさ。若くして死ぬということは、親より先に死ぬっていう親不孝だわの。たとえ、親に殺されたにせよのぅ」
「……」