sir.happiness


きみがあまりにもぼくの顔を見るから、後ずさることもできなくて、必死に華奢な椅子の上でもがいた。


「もう・・・・・・別れる?」


きみは言う。ぼくを叩きつけたつもりだろう。構わない。ぼくはそんな痛み、感じない。
どちらが崖から落ちそうか、よく考えてみて。


「収入のない人なんて・・・・・・・・・・・・」


確かにそうだね、ダメだもんね。


ため息まじりに、ぼくはぼくとしての欲望を吐き出しそうになる。
ぼくがいま、崖から落ちそうだとすると、きみはいま、ぼくを涼しげに眺めるのか?
< 14 / 19 >

この作品をシェア

pagetop