sir.happiness


写真のないアルバムは、本当の意味の白紙に終わり、ぼくときみの因果を壊していく。


きみが、どんな顔をしていたか、もう忘れた。



消えていくばかりの思い出。いや、思い出にすらなってなかったのかもしれない。
こんな表情は、すぐに景色に流れていく。


「もう、・・・・・・無理だよ」


きみはぼくに、別れを告げたようだ。
もはや気にはならない。
無理?何が?っていう表情、これが思い出になっても仕方ないって、自分でもわかっているくせに。


ぼくらが作った時間が、もしかしたら初めから意味のないものかもしれないだと知り、絶望に満ちていく。
君が知らない世界で僕だけが、死んでいく。
いつものように、皿洗いを始めたきみの姿。もはや抱きしめる要素も少なくなっていた。
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