水滴
しだれ桜が咲く。

懐かしくなる。
大好きだった人を思い出す。

私って何だろう。
自分探しの青春じゃあないけど考える。

なんでこうなったのかな。どこで間違えたのかな。
自分の人生をそんな風に振り返るのは悲しい。
時々そうなる。心が不安定で悲鳴をあげる。

なんで苦しいのかな。なんで悲しいのかな。

考えても解らない。

恋人にも本当の事を話さない。なんの病気か解らないのもあるけど、過去を全部話すには重すぎるし話す必要もない。

だからこそ辛いのかな。
元気な時は頭をかすりもしないのに憂鬱さに負けることがある。

何で学校を卒業できなかったのかな。何で普通の生活ができなかったのかな。精一杯生きてきたのに、つまらない事に劣等感を感じる。

しだれ桜を写真に撮るおじさんを見かけた。
写メで記念撮影をする学生も居た。

あの人はどんな気持ちで眺めてたのかな。
優しい人だったから、愛しい気持ちになったのかな。もしかしたら愛しい気持ちになるのは私自身なのかも。

混乱した世界に居た私も恋をした。
それは今でも私を支えて、愛ってやつがどんな気持ちか語ってくれる。
人の幸せを願う幸せ。
私じゃ駄目だったけど、それで後ろを向いた事は無い。

そこに居る訳じゃないのに、ネガティブさをあっさり取り払ってくれる。

しだれ桜が咲いて私は幸せになれる。
それはラッキーな事なのかな。

幸福を感じると心の調子も良い。
反対にもろいもので、辛い事があるとぐらぐら揺れ出すのも早い。

眠れずに過ごす夜もある。

幻聴。
あんまりはっきり聞こえたから、まったく気付かなかった。
気付くと手遅れで、心がきしきしいう。
目がぎょろっと泳ぐ。
冷静でいられなくなる。慎重さもなくなる。注意力も低下する。

神経質になって、前向きな考えができなくなる。

普段はまったく気にならない事が気になって、そこに居るのが辛くなる。

もしかしたらしだれ桜が咲いても、幸せを感じる事ができないかもしれない。
懐かしささえ感じないかもしれない。

そう思うとぞっとする。
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