晴れのちキミとわたし
小さな波紋
帰りの支度をするためのロッカールームでは、由美子と千晴が仲良く話していた。
そんな二人の和やかな姿に先程までのぴーんと張っていた紗綾の気持ちが緩んだ。
泣くなっ!
こんなことくらいで泣いてたらキリン組のみんなに笑われちゃう。
ふぅ~。
溢れ出しそうな涙を大きな深呼吸と一緒に身体の中に飲み込んだ。
「お疲れ様です。お待たせしてしまってすいません。すぐに帰りの支度を終わらせますね」
なるべく明るくそう言った。
そんないつもと違う紗綾を千晴は探るように見つめていた。
「いいのよ、千晴先生とお話しをしていたから」
「よかったです」
由美子の声は紗綾を暖かい気持ちにしてくれる。
「あっ、そうだ!月野先生のことも紗綾先生って呼んでもいいかしら?」
紗綾先生…。
「…っはい」
嬉しかった。
たったこれだけのことがとても。